秋の美味しい果物、ぶどう。最近は皮ごと食べられる品種も増えてきて、手軽に食べられるフルーツとして買う人も多いのではないでしょうか。一粒の大きさも丁度よいことから、匂いにつられてやってきたうさぎに、ついひと口あげてみて…。
あれ? うさぎって、ぶどうを食べていいんだっけ?
少し調べると、『あげちゃダメ!』『危険』『病気』と怖い単語ばかりが目に飛び込んできて、びっくりしてしまうかも。そう、ぶどうはうさぎにとって賛否両論ある果物なのです。でも、とりあえず安心してください。健康な大人うさぎが、ぶどうを数粒食べただけでいきなり病気に!緊急搬送!ということはほぼありません。
ぶどうがダメと言われるのには理由があり、また、食べても大丈夫と言われるのにも理由があります。というわけでこの記事では、うさぎとぶどうに関する情報を出来るだけ細かく書いて、飼い主さんが自分で判断できるようにまとめてみました!
うさぎがぶどうを食べられるかは賛否両論…英語圏では『適度ならOK』が一般的
まず結論から。うさぎがぶどうを食べられるか?という疑問については、
食べられるけど、絶対安全とは言えないです。だからといって超危険とも言い切れません。
としか答えようが無いです。この記事にある内容を読んで、ご自分のうさぎにぶどうをあげるべきか否かは、各自ご判断いただくのが一番良いと思います。まずは
- なぜ一部では危険と言われ、なぜ食べられるという意見もあるのか?
- 日本以外ではどう言われているのか?
- 与えるとしたらどれくらいの量ならいいのか?
という3点についてまとめてみますね。
なぜ、うさぎにぶどうを食べさせることに賛否両論があるのか
ぶどうは抗酸化作用が高く、人間には健康に良い果物と言われています。しかし犬にとっては、ぶどうは危険な果物であることを知っていましたか? 犬がぶどうを食べると腎臓に障害を起こすケースがあると言われており、実際に急性腎不全で死に至った症例が日本でもアメリカでも確認されています。
うさぎが犬のように、ぶどうを食べたことで腎機能障害を起こしたという明確な症例はほぼ報告されていません。(過去にぶどうの多給が原因であると『思われる』症例があったとする動物病院の記事があったようですが、既に当該記事は削除されていました)しかし、うさぎとぶどうの研究はまだ進んでおらず、
- うさぎにとって、ぶどうの危険性は絶対に無いとまでは言えない
ことから、与えるべきでないとする意見があります。また、これはぶどうに限りませんが、果物には糖質が多く、継続的に摂取しすぎると消化器官に悪影響をきたす可能性があることも事実です。ただし、裏を返せば
- うさぎにとって、ぶどうは危険性が明確にあるとも言えない
という側面もあります。実際にほとんどのうさぎはぶどうを数粒食べた程度で健康を損ねたりはしないし、今までぶどうによる健康被害が数多く発見されているわけでもありません。なので、獣医や専門家の間でも「うさぎは特に問題なくぶどうを食べられる」とする意見も多いのです。うさぎにとって果物はおやつですが、ブラッシングや爪切りのご褒美にあげたり、食欲低下の際に食べるきっかけとなってくれたり、有用な側面もあります。その一つとしてぶどうが候補になっても良い、ということですね。
簡単にまとめると、
ぶどうは犬にとって危険な食べ物で、うさぎにも危険が無いと言い切れないから、食べさせちゃダメ!
今までぶどうが原因でうさぎが病気になった報告はほぼ無い。おやつとして活用できれば適度な量を食べさせてもいい!
という相反する二つの意見があるということになります。
日本以外ではどう言われている? 英語圏での意見を調べると…
うさぎとぶどうの関係は、日本では賛否両論あることがわかりました。一方、英語での記事をざっと見る限り、英語圏では『適度な量・頻度で農薬をきちんと洗い流せば、うさぎにぶどうはOK』という意見が一般的のようです。
Can rabbits eat grapes safely?
Grapes aren’t toxic to rabbits, and you can feed them to your rabbit occasionally.
“Grapes contain a small amount of fiber, B vitamins and vitamin K, which may be beneficial to rabbits,” Dr. Burch told The Dodo.
(中略)
Potential risks of grapes
While grapes aren’t poisonous to rabbits, there are still some risks involved when feeding them to your pet.Grapes are high in sugar, which can upset your rabbit’s stomach and make him gain weight. Eating too much sugar can even lead to diabetes.
(中略)
Giving your rabbit a couple of fresh grapes on occasion is safe and can even add some nutrients to his diet. Just be sure to wash the grapes, avoid seeded ones and don’t feed them as a treat too often.
引用元:The Dodo
例えば上記の記事はアメリカの獣医であるミシェル・バーチ博士へのインタビューを元に書かれていますが、食べ過ぎた場合の危険性も指摘した上で、『時たまごちそう代わりにあげるのであれば、ぶどうは安全であり、うさぎにとって有用であろうビタミン類も含まれている』と結論づけられています。
うさぎにぶどうを与えるとしたら、どれくらいの量・頻度ならいいの?
では、うさぎにぶどうを与えるとしたら、どうやって与えれば良いのでしょうか?ぶどうに限らず果物は糖質が高いため、あげすぎだけは絶対にいけません。残念ながらぶどうはかなり糖質の高い果物なので、与える場合は
- 数週~月に1度か2度
- 一度の量は、ぶどう半~1粒ほど
- よく洗い、種がある場合は取り除く
- 子うさぎには与えず、健康な大人うさぎにのみ与える
という程度にとどめておくと低リスクで食べてもらうことが出来るでしょう。といっても危険性が無いわけではないので、もしぶどうを食べた後、うさぎの糞などに異常があれば以降は与えないほうが良いと思います。
うさぎがぶどうを食べちゃった!病院に連れていくべき?!落ち着いて様子を見て
うさぎにぶどうを食べさせてしまい、それが不安で仕方ないという場合、まずはうさぎの糞や食欲に問題が無いか様子を見ましょう。食べさせた量や頻度にもよりますが、普通の大人うさぎがぶどう数粒で突然ショックを起こすようなことはほぼ無いと思われるので、慌てず落ち着いて様子を見ることが大切です。
ただし、一度に大量のぶどうを食べさせてしまったという時は、念のためより注意深くうさぎの体調を観察し、異常があればすぐに病院へ連れていけるような準備をしておきましょう。また、子うさぎにあげてしまった場合も同様に注意が必要です。ぶどうに限らず、果物は一度に大量にあげてはいけません。
ぶどうの他の部分はどうなの? 枝・葉・レーズンについても解説
ここまでは生のぶどうの実について解説してきましたが、では、ぶどうの枝や葉、レーズン(干しぶどう)の場合はどうでしょうか。順に説明していきますね!
ぶどうの枝 〇かじり木として販売されています
ぶどうの枝について、有毒とされている根拠は調べた限りは見つかりませんでした。英語サイトも複数たどりましたが、これが原因で健康を損なったという報告もありません。以下のようにかじり木としても販売されています。大量に食べるのは良くないと思いますが、かじり木(=おもちゃ)として与えるのなら問題ないと思われます。
ぶどうの葉 〇農薬の使われていない物をよく洗って
余り手に入る機会はないと思いますが、ぶどうの葉はきちんと洗えばうさぎも食べられるようです。ネットや専門書でも出来る限り調べましたが、枝と同様に問題があるという記述は見かけませんでした。ただし無農薬で育てられた葉に限られるため、うさぎにあげるチャンスはほとんど無いかも…。また、やはり大量に食べさせるのはNGです。
レーズン(干しぶどう) △要注意 まず無添加であることが前提
レーズンについては、量の加減が難しいでしょう。ドライフルーツは水分が抜けているため生の果実よりも更に糖質を取りやすくなってしまいます。レーズン1粒あげる程度なら問題ないでしょうが、小さいので満足感が無いかも…。その場合も砂糖などの添加物が一切使われていない、動物専用の物を与えることをお勧めします。
まとめ どちらの意見もよく読んだうえで自己判断を
さて、今回はうさぎとぶどうの関係について徹底的に調べて特集してみました。簡単にまとめると、
- 安全かどうか分からないから、与えてはいけない
- 危険とも判断されていないから、おやつとして少量なら与えられる
『うさぎがぶどうを食べられるか』に関しては、この2つの考え方にハッキリと分かれているようです。一般のうさぎ飼いさんだけでなく、ペット業界や獣医といった専門家の中でも意見が真っ二つになる果物であることが分かりましたね。
最後に、あくまで個人的には、管理人はやや『危険と言い切れないなら少しずつチャレンジしても良い』という立場を取っていますが、正直なところ敢えてうさぎにぶどうを与えるというシーンもほぼ無いので、これからも機会があればごくたまに、ほんの少量あげてみるという程度かなと思います。果物がうさぎにとって必須というわけではありませんが、おやつとして有効活用できるなら、通常の果物より少し気を付けてあげてみること自体には反対しません。
どちらの判断をするにしても、その背景をしっかり理解して考えてから決めることが、うさぎの飼い主の責任だと思います。うさぎにぶどうを食べさせるべきか否か、この記事の内容を読んで下さったあなたにとって考えるきっかけになれば幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。