うさぎを家に迎えたばかりの初心者さんが一番気になること。それは、
『この子と本当に仲良くなれる? 嫌われてないかな?』
ということだと思います。長い時間を共に過ごしていくのですから、不安になるのは当然。管理人もうさぎを飼い始めて暫くは、うさぎとの距離感に戸惑ったり、一緒に暮らす家族の方が仲良くなるのが早いと悔しくなったり、恥ずかしいほど迷ってばかりでした。
これは、うさぎが嫌いな相手に出すサインなのでは?!と焦って、聞きかじりの情報に踊らされたりもしました。結果、きちんとうさぎと向き合えるまで、随分遠回りした気がします。私は、これを読んで下さる初心者さんにそんな思いをして欲しくありません。
大切なのは、うさぎの行動にどんな意味があるかを知るだけではなく、その行動の理由をしっかりと考える事。確かにうさぎが嫌いな相手にする行動はあります。けれど、それはあなたのうさぎに当てはまるのか? 本当にうさぎはあなたを『嫌って』いるのか? もしそうなら何が原因で、どう改善すればいいのか? うわべだけの知識に振り回されずにしっかり考えていきましょう!
うさぎが嫌いな人にする行動を動画で8個紹介! でも他の意味があることも
うさぎが嫌いな人にする行動は、以下のようなものがあります。けれど、うさぎは無条件で『この人が嫌い』と思っている訳ではないことが大半です。例えば直前に嫌な思いをしたとか、構って欲しかったのに無視されて怒っているとか、言うなれば『抗議』や『主張』の意味でサインを出していることが多いんですよ。
また、こういった行動は他にも意味がある場合があります。自分のうさぎの行動が1~2個当てはまっても、嫌われたと決めつけるのは尚早です。たいていの場合は、そこまで気にしなくても大丈夫ですよ。
後ろ足で床を叩く(足ダン)
うさぎの典型的な『警戒』行動です。後ろ足で床を叩き、ダン! と音を立てるので足ダンと呼ばれています。たいていは耳をピンと立てていることが多いです。何もない時に1~2発するだけなら通常放っておいて大丈夫ですが、人間が近づいた際に激しく足ダンをされるなら、直前に何か原因が無かったか考えてみましょう。
付近や外の物音・ニオイに反応しているだけの場合があります。元々足ダンは怒りというよりも警戒信号を仲間に伝える意味合いが強いので、あなた(仲間)に『カラス(敵)が近づいてきたよ!』等と伝えたいのかもしれません。また、単に人間の注意を引きたいだけのことも。
ほりほり・前足パンチ
前足と体全体を使って地面を掘るような仕草をします。何かに興奮している時にみられる行動ですが、色々な意味を持つのでこれだけで嫌われているとまでは言えず、他の行動や状況と組み合わせて考えることが必要です。例えば撫でようと手を近づけたり、膝の上に乗せた時に激しくほりほりされたりパンチされて大急ぎで逃げられるなら、うさぎにとって何か怖いことがあったのかもしれません。
穴掘りは野生のうさぎの習性のため、単純に習性でやっている、もしくは遊んでいるだけという可能性もあります。掘るのは床や地面だけとは限らず、毛布や衣服など柔らかい素材のものをほりほりする感触が好き、という子もいます。遊んでもらって興奮している、人間に甘えたい、などポジティブな意味を持つシーンも多いですよ。
↓うさぎがほりほりしてくることに関しては、以下の記事でより詳しく説明しています。どうぞご覧になってくださいね!
噛みつく
何か不快なこと・怖いことがあった時、抵抗するための手段です。うさぎに噛まれると、猫や犬などの甘噛みよりもかなり痛いのですが、本気で抵抗を示す際は血が出るほどしっかり噛みます。他のサインよりも数段あからさまな行動なので、うさぎに近づいて何度も噛みつかれる場合は原因と対策を考えた方が良いでしょう。何かに驚いたときに反射的に噛んでしまう場合もあるので、前後の状況も確かめましょう。
『うさぎに甘噛みはない』という情報も見かけますが、実際は遊んでほしい時などに甘噛みをする子がいます。ただし上述したように、甘噛みでも結構痛いので、初心者さんはびっくりしてしまうかも…。手ではなく衣服にカミカミする場合は、その素材の歯ごたえが気に入ってしまった可能性もあります。
ブー!と鼻を鳴らす(鼻ブー)
鼻を激しくブー!と鳴らして怒りを表現しています。足ダンしながら鼻ブーをして、怒りをあらわにする大胆な子も。ただ、元々上手く鼻を鳴らせず『ぷうぷう』(=穏やかで嬉しい時に出す音)ではなくブーブー!になってしまう子もいるので、見極めは慎重に。
うさぎは個性豊かな生き物で、中にはいわゆる『ツンデレ』な子もいます。ブーブー怒ったふりをしてみて、注意を引きたかったり、追いかけっこを誘ったり。自分のうさぎがどんな性格なのかも合わせて、鼻を鳴らす理由を考えてみると良いでしょう。また、始終鼻を鳴らしている場合は鼻の病気の可能性もあるので注意してください。
逃げる・隠れる
文字通りですが、近づいたり手を伸ばした時に猛ダッシュで逃げられるなら、うさぎが恐怖や不快感を感じている可能性があります。普段の走り方と違い、怖い時の逃げ方は弾丸のように物凄い速さです。部屋の中で逃げてしまった場合、逃げた先でどこか狭い場所へ身を隠してしまうケースもあります。ケージの中で巣箱などに隠れてしまうのも『ふれ合いたくない』というサインです。
人間が追い付ける速さ・つかず離れずの距離で逃げているだけなら、追いかけっこの誘いかもしれません。逃げる前に身体をブルッと震わせて、楽しそうに走ります。本気で嫌がっている場合は足ダンや鼻ブー、かみつき等がセットになるので目安にしましょう(ただ、ツンデレな子はかみつきや鼻ブーまでもが『愛情表現のうち』であることも)
何度も顔を洗う
うさぎの頭部には、耳・鼻・口・ひげといった敏感な感覚器官が揃っています。うさぎが前足で顔を洗うのは、この感覚器官をお手入れし、いつでも鋭敏さを保つため。これはうさぎの習性ですが、余りに頻繁な場合は緊張をほぐそうとしている場合もあります。人間が緊張すると自分の体を無意識に撫でて自らを落ち着かせようとするのと同じです。
例えば香水のついた手で撫でられたり、うさぎの顔周りに普段と違うニオイが染みついてしまった場合は、念入りに顔を洗う場合があります。
横たわらない・座らない
うさぎは、リラックス出来ない環境ではいつでも逃げられるように準備をしています。横たわったり、座ったりせずに、常に腹部を浮かせている場合は、少なくともリラックスはしていないと捉えていいでしょう。特定の人が近づいた時だけこの行動がみられるなら、うさぎは『何かされる』と思っているかもしれません。
単純に周囲の物音やニオイが気になっている可能性もあります。外から帰ってきたばかりの人に対しては、その人の服についた外のニオイを警戒していることも。また、初めて出会う人・出会って間もない人に対しては中々リラックス出来ないので、まずはその人に慣れてもらうことが必要です。
異様な声で鳴く
うさぎが『キー!』とか『ギー』という声で鳴くのは、かなりの緊張・恐怖の表れです。他のサインよりも強く不快感を示しています。しょっちゅうこの声で鳴かれてしまうなら、まずはうさぎにとって何が不安で不快なのか原因をさぐり、早めに取り除きましょう。
それまで何ともなかったのにいきなりこの鳴き声を出すようになるなら、体のどこかが痛いのかもしれません。出来るだけ早めに病院で相談することをおすすめします。
嫌われている訳じゃ無い?! 他に理由が無いかよく考えてみよう
上の章でも、それぞれの行動に他にどんな意味があるのか解説しましたが、自分はうさぎに嫌われている! と断定する前に、他にうさぎを不快・不安にさせた理由や原因が無いかも考えてみましょう。ほとんどの場合は、行動の背後に何か以下のようなことがあるはずです。
直前に怖いことがあった
うさぎにとってどんなに信頼できる人でも、直前にうさぎにとって怖いことがあれば上記のような行動を取るのは珍しくありません。何かの拍子にうさぎが驚いたり、外で雷が鳴っていてうさぎが緊張してしまったなど、様々なケースが考えられます。このような『ハプニング』による場合は、嫌われているわけではないので、少しうさぎを落ち着かせてからもう一度触れ合ってみましょう。
うさぎが『構ってほしい・遊んでほしい』と思っている
足ダンやホリホリなど、分かりやすい行動で人間の注目を集め、構ってほしいとサインを出すうさぎも少なくありません。嫌われているどころか逆に『遊んで』というポジティブな気持ちなので、見逃さないようにしてあげましょう。初心者には少々見極めが難しいのですが、近づくよりも離れたときにサインが激しくなったり、ずっと惜しそうにこちらを見ている場合は構ってあげるのが正解なことも多いです。
ただ、習慣になってしまうと困るイタズラ(うさぎにとって危険なものをかじるなど)で気を引こうとする場合は、イタズラ対策だけを行い、あとは無視して「その行動をしたら、遊びに付き合うことは出来ないよ」と伝えることも大切です。
うさぎの動線上に物や人がいるので『どいてほしい』というサイン
部屋んぽ中や放し飼いの場合に、うさぎの進行ルート上に障害物があると無理やりどかそうとすることがあります。これは相手が人でも同じで、いつものルートを進んでニオイを確認したいのに、人が邪魔で進めないので『どいて!』とホリホリしたり、噛んだりして伝えようとしている可能性は充分にあります。
周囲の物音やニオイを警戒・情報収集している
うさぎは人間より遥かに聴力・嗅覚が鋭いので、人間には感じ取れない音やニオイにも反応することがあります。うさぎにとって慣れない音やニオイの場合、緊張してリラックスできなきうなってしまったり、中には少し攻撃的になる子も。時間が経てば落ち着く場合がほとんどです。
単純にうさぎの機嫌が悪い・気分じゃない
うさぎにも気分があります。いつでもウェルカムな訳ではありません。人間と同じように『なんか今日怒りっぽいな』という時もあるので、一度や二度拒否されたくらいでは嫌われていると断定せず、うさぎの気が向くのを待ちましょう。
病気やケガをしている
身体のどこかに不調を抱えている場合、イライラしたり怖がったりしがちになります。いつもは天真爛漫でおおらかな子が急に怒ったり逃げ回ったりする時は、病気やケガをしていないか必ず確認しましょう。特定の人ではなく誰彼構わず上記の行動を取るようになる場合も要注意です。どうしても原因が分からない場合、お医者さんに相談してみるのが良いでしょう。
もし嫌われていると思ったら…人間がNG行動をしていないかチェック!
上記を読んで、それでも『うさぎに嫌われているな』と思うようなら、普段以下のような行動を人間側が取っていないか振り返ってみましょう。うさぎに好かれやすい人になるには、まずNG行動をやめることが第一歩です。
急に動かない・物音を出さない
例えばうさぎと同じ部屋に居て、ずっと静かにしていたのに人間が突然動くと、寝ていたうさぎが敵の出現と勘違いしてびっくりしてしまうことがあります。これを何度も繰り返すと、うさぎにとってその人は『油断できない相手』認定されてしまうかも。大きな物音を突然出す人も苦手です。これを避けるためには、動き出す前にうさぎに軽く声をかけてあげると良いですよ。うさぎと同じ空間に居る時に長時間同じ姿勢で本を読んだり、昼寝などをして静かな環境が続いた場合は要注意です。
自分中心でうさぎを追いかけまわさない・触れ合いを強要しない
しつこく撫でたり追いかけてくる人が、うさぎは苦手です。特に最初のうちは、うさぎから自分に近づいてきた時などに少し撫でるくらいで充分。よく観察して、うさぎが少しでも嫌そうなそぶりをしたらすぐに引きましょう。小さなお子さんのいる家庭ではお子さんがそのような行動を取っていないかもチェックです。
早く仲良くなろうとせっかちにならない
初心者さんがやりがちな失敗ですが、早く仲良くなろうと焦るとうさぎに警戒されてしまうことが多いです。必要以上にうさぎに注目していたり、常にうさぎのことを気にしているとうさぎも気配を察知して安心できなくなってしまいます。難しいことですが、ゆっくり時間をかけるつもりでうさぎと仲良くなりましょう。
うさぎに無理に上下関係を教え込もうとしない
最近、アナウサギの群れに序列がみられるといった理由で『人間がうさぎより上の立場であることを示す』ために飼育下のうさぎにも上下関係を教え込ませるための方法がネットで散見されます。はっきり言って、これは初心者さんにはおすすめしません。この考え方自体が全く間違いではないのですが、本質的な理解と経験が必要になるからです。
信頼関係が築けている状況であればまだしも、聞きかじりの情報で初心者がこのような方法を試してしまうと、関係を築く前にうさぎに嫌われてしまうリスクがあります。うさぎは賢い動物で、人間が信頼に足る相手と判断すればおのずと丁度いい距離を保ってくれますよ。
おわりに ~うさぎはむやみやたらと人を嫌ったりしません~
今回は、うさぎが嫌いな人にする行動とその理由、そして『嫌われているわけではない』場合の意味を解説してきました。うさぎに突然足ダンされたり、パンチされるとショックですよね。しかし、うさぎの行動には様々な意味があり、必ずしも相手を嫌っているからとは限らないシーンが多々あります。
お伝えしたいのは、このような行動に一喜一憂せずに、自分のうさぎとしっかり向き合ってほしいということです。うさぎは実に個性が豊かな生き物なので、あなたのうさぎが本当は何をあなたに伝えたいのか、一般的な知識や情報だけで理解することはできません。知識は必要ですが、必ず『その子』の個性を理解することを優先してください。
また、うさぎは理由もなく人を嫌いになることはありません。もし嫌われているとしても、その背後には必ず原因があります。このことを頭に入れて、今回の記事の内容を生かしてもらえたら幸いです!